歌の中で家族は再び一つになる―。中国ロックの父・崔健初監督作品
『藍い骨』(原題:蓝色骨头)
あらすじ ネット小説家、地下ロック歌手、そしてプロのハッカーとして細々と活動している鍾華。生活のためレコード会社社長の使い走りをしながら、退屈で引きこもりがちな生活を送っていた。最近のラッキーなことと言えば売れない歌手の萌萌をナンパしたこと、そしてアンラッキーなことと言えば彼女が社長の愛人だったこと・・・。これが愛なのか欲なのか分からない鍾華は、ある種“返済”のために、彼女を売れっこにしてみせると社長に約束してしまう。そんな時、長い間音信不通だった父親から郵便物が送られてくる。その中には文化革命時代の驚くべき秘密の物語が隠されていた・・・。
「とにかく一度聞いてみろよ。スゲエから」 私が始めて中国を訪れたのは20年ほど前。 留学先のルームメイトから貰ったカセットテープ。 それが、崔健との初めての出会いでした。 めちゃくちゃカッコいい。正直それまでは、どこへ行っても日本の歌謡曲のようなポップスと民謡ばかりが聞こえてきていたので、こんな骨太なロックを演奏する人たちがいることに驚かされた事を覚えています。崔健は私が中国の音楽にハマったきっかけとなったミュージシャンなんです。
と、私の思い出はさておき、あの崔健が映画を撮ったんだって、日本にくるぞと友人から連絡を貰いまして、それは絶対に会いに行かなくてはと駄目元で取材依頼をしてみたわけです。
この映画は、毎年東京国際映画祭と同時期に行われる「中国映画週間」で上映されました。 さまざまな中国映画をまとめて楽しませてくれ、チケットもすぐに完売する人気イベントです。
映画上映前に行われた舞台挨拶、トレードマークの帽子をかぶった崔健監督が登場。 「前回はロックで来日したけど、今回は映画監督として来ました。次回は、やっぱりロックで来ます」と、つかみの挨拶。会場は爆笑に包まれました。 映画は10年ほど前に思いついた歌詞が脚本となりいつの間にか映画を撮ることになったのだそう。リズムを意識して編集したのだそうです。
サプライズゲストとして、撮影監督のクリストファー・ドイルさんも登壇。 ドイルさんは、ウォン・カーウァイ作品でおなじみ。崔健のロックと、ドイルの美しい映像が合わさるとどうなるのか、期待が膨らみます。 ドイルさんは冗談ばかりで場を楽しませてくれました。 そんな舞台挨拶の模様をご覧ください。 崔健監督とドイルさんへの質問は、崔監督の日本ファンクラブの皆さんが行いました。終始和やかな雰囲気で楽しいイベントでしたよ。 現場の雰囲気をそのままにお届けします。
舞台挨拶後映画を拝見。 映画は3人の人間物語を描いており、早いテンポで時代を飛び越えそれぞれの思いを見せてゆきます。
特筆すべきは、ひとつの歌詞の歌を曲のアレンジを変えて3回見せていること。
(エンディングで流れていたら4回)。ミュージシャンならではですね。
クリストファー・ドイルの切り取る映像と崔健の音楽を楽しむためだけでも一見の価値はあります。
『藍い骨』(原題:蓝色骨头)
監督:崔健(ツイ・ジエン)
腳本:崔健(ツイ・ジエン)
主演:趙有亮(ジャオ・ヨウリャン)、 倪虹潔(ニー・ホンジエ)
ジャンル:ヒューマンドラマ 上映時間:101分
(記事:nono)