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「笑いあり、涙あり、苦あり、キジル千仏洞保存に協力した日本人」2

第2回 「寄付がこんなに難しいとは~受け取ってくれない!~」


キジル千仏洞を訪ね、人類共通の文化遺産と直感した小島さん。遺跡の保存保護のために寄付を申し出た。ところが・・・。


「寄付をしようにも、受け取ってくれないんですよ」 と頬を緩ませ懐かしそうに語る小島さん。「当時の中国は、改革開放が始まった直後で、外国との交流はほとんどなかった時代。新疆では、文化面だけでなく経済面でも外国から寄付をもらったことはなかったんです。寄付する代わりに私が何か要求を出すのではないかと心配したんでしょう」と、今からは想像しがたい状況だった。


キジル千仏洞には、19世から20世紀初頭にかけて日本の大谷探検隊やドイツ、ロシアなど外国の探検隊により多くの壁画などが持ち出された痛ましい歴史がある。大谷探検隊と同じ日本人である小島さんの寄付に慎重になるのは無理からぬことだった。


「最終的には、新疆の最高責任者で前の党書記の王恩茂氏が許可したようです。もしあの時、王氏が承認しなかったら、その後のニヤ遺跡やダンダンウイリク遺跡の調査、新疆大学奨学金制度の設立などもなく、新疆との交流はなかったでしょう」と感慨深げに語った。


その王氏は、その後病に倒れ2001年に亡くなった。小島さんは、病院へのお見舞いや自宅への弔問にも伺った。王氏との親交は、死した後も続いたのだ。「王氏には感謝するだけです。彼が責任者として決断してくれたおかげで日中の文化交流ができたのですから。私を信じてくれたんでしょうね」


「信じる」―。
日本人同士でも簡単なことではない。いわんや、外国とは・・・。 今も新疆訪問を続ける小島さん。その情熱は、疑う余地のないものである。信じても、裏切られることもある。でも信じないと相手も信じてくれない。国際社会では争いごとばかり、そのほとんどがお互いの疑心暗鬼から生まれてくるものだろう。


「信なくば、立たず」。国と国、国と民、民と民、みんなが平和に幸せに暮らすための一つのヒントが、「信」なのかもしれない。

 

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筆者:永野浩史

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