毎回台湾映画の名作やトークをを楽しめる好評のイベントの第六回が9 月10 日に行われました。今回は台湾青春映画の名作『九月に降る風(原題:九降風)』を上映。
『九月に降る風』は林書宇(トム・リン)監督の長編第一作で、1996 年の夏を舞台に恋と友情、信頼と裏切りを描いた7人の野球好きな少年たちの成長物語。
2008 年に台湾で公開され、台北電影節の審査員特別賞、王柏傑(ワン・ボージエ)の新人賞、脚本賞、メディア推薦賞を獲得、上海國際電影節ではアジアのニューシネマ部門の作品賞、さらに金馬奨でも脚本賞に輝いた。同年東京国際映画祭で上映された際に監督と王柏傑、邱翊橙(毛弟)が来日、翌年2009 年一般公開された。
実はこの『九月に降る風』は、残念ながら日本では権利が切れていました。台湾の権利元をはじめ日本公開当時の配給会社やソフトメーカーの協力により今回の上映が実現したのだそうです。
トークでは、作品解説と特別出演している元台湾プロ野球チーム時報鷹のスーパースター廖敏雄(リャオ・ミンション)についてや、エンディングテーマ曲に張雨生(チャン・ユーシャン)の「我期待」を使用した経緯、日本公開時に今をときめく斎藤工が日本版予告編でナレーションを担当したこと、そしてロケ地である新竹を今年3 月の監督と再訪したときのエピソードなど盛りだくさんの内容でした。
毎回恒例のムービーメッセージは、林書宇監督からでした。
「日本の皆さんこんにちは。監督の林書宇です。『九月に降る風』は私にとって特別な作品です。なぜならこの作品は私にとって初めての長編作品だからです。最初の作品はクリエーターにとってとても重要な位置を占めます。そしてこの映画は私個人の成長の物語です。日本の皆さんにまた見てもらえるのはうれしいです。撮影時は初めての長編だったので、同世代で旧知の仲のスタッフと、みんな一緒に勉強しながらこの作品で成長しました。スタッフ・キャストとは沢山の想い出があり、今でもかけがえのない友人です。この作品は単なる映画という風に一括りにする事はできない、人生の中の"真実の旅"のような体験だったと言えます」
『九月に降る風』のメインキャストはほとんどが新人を起用。台湾映画界の若手代表の仲間入りを果たした鳳小岳(リディアン・ヴォーン)、王柏傑をはじめ彼らのその後の活躍ぶり、そして芸能界を離れ新しい道を進んだメンバーの近況なども紹介されました。
更に、こういう新人達をどうやって発掘し育てるのかという事情の具体例を挙げながらの解説は、多くの観客から面白かったと反響があったそうです。
恒例のプレゼント抽選会では、台湾版ポスターとポストカード、しおりセット、来日キャストのサイン入り日本版パンフレットというレアグッズに会場は大盛り上がりでした。公開から何年も経っている作品のグッズは貴重ですね。
毎回映画だけでなく映画にまつわるエピソード、そしてプレゼントまでもらえるというこのイベント。残りはあと2回の予定です。
◆今後の実施予定
○10 月15 日(土)
作品:『セデック・バレの真実』(ドキュメンタリー)
14 時開演 トーク:台湾のドキュメンタリー映画に秀作が多いのはなぜか…。
台湾の社会と文化、それを描く監督たちの意欲について。
○12 月3 日(土) 作品:『藍色夏恋』
14 時開演 トーク:作品解説と金馬奨取材レポート
※予定は変更になる可能性があります。