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「笑いあり、涙あり、苦あり、キジル千仏洞保存に協力した日本人」1

第1回 「これは世界人類の遺産だ~28年前、身体が震えた瞬間」

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「そうですね~、初めてキジル千仏洞を見た時のことは、今でも鮮明に覚えていますよ」と小島さんは噛みしめるように語り始めた。10年一昔と言われるが、28年前と言えば昔が三つも重なった遠い昔。日本からおよそ6000キロ離れた中国の西にある新疆ウイグル自治区に訪れる日本人など、ほとんどいなかった時代である。


「1986年、初めて参観しました。まだ、僧侶になる前でしたが、釈尊の前世物語が描かれた壁画の数々に感動しました。人間のエネルギーの凄さを感じました。まだまだ貧しかった時代の中国、その辺境の辺境で苦しい生活の中で細々と保存に汗を流す人たちにも感動しました。この二つの感動には身体が震えました。『これは間違いなく人類の文化遺産だ』と直感しました。それで個人的寄付を申し出たのです。

 

そうはいうものの、外国の良く知らない遺跡保護のために寄付を申し出たところでなかなか理解されない。しかも、500万円近い額だという。今の価値ならもっと大きな金額だろう。28年前に、富士山や富岡製糸場の保存のために、外国人が寄付をするようなものである。当時、中国は改革開放が始まったばかりで、外国人との交流などあまりなかったことを思えば、さぞや新疆の人々は驚いたことであろう。


4月、イコモス(ユネスコへの諮問機関「国際記念物遺跡会議」)は「富岡製糸場」を世界遺産へ登録勧告した。日本の各メディアは、大々的に報じた。一方で「シルクロード世界遺産へ」という報道はひっそりしたものだった。どちらの文化遺産も、日本人にとって深い繋がりがあるはずだ。


「生糸とシルク」・・・。


もし、遠く離れたところにあるから関心が無いと言うなら、悲しい事なのではないか。自分の事、身の回りの事にしか関心を持たなければ、文化の違う外国の方々との交流など進むはずもない。そんなことを思うと、遠く離れた西方、28年先の未来、時空を超えて先を見つめた小島さんの眼力は、すごい!


筆者:永野浩史

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